テレビやSNSでも話題のブロッコリースプラウト!
スプラウトは新芽という意味なので、ブロッコリースプラウトって、いわば生まれたばかりのブロッコリーの赤ちゃんってことですよね。
それにしてもなぜ、ブロッコリースプラウトは健康や美容にこれほど役立つのでしょうか。
その理由は、人間の赤ちゃんに例えると分かりやすいのかもしれません。
赤ちゃんの免疫力
人間の赤ちゃんの場合、どうやってウイルスや細菌から身を守っているのでしょう。
免疫力を支える栄養素
おかあさんのお腹のなかにいるときは、母親の胎盤からIgGというウイルスや細菌と戦う免疫物質をもらいながら育ち、生まれたあとは母乳や粉ミルクを飲んでリボ核酸やヌクレオチドといった栄養素を吸収して、消化管を守ったり、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させて免疫力を高めています。
ですが植物は、胎盤もなければ、芽を出してミルクをもらうこともできません。
植物の抵抗力を支える栄養素
そこで、植物が生き抜くために作りだしたものが「ポリフェノール」という、苦みや渋みのもとになっている栄養素です。食べて苦かったり渋かったりすると、虫や動物も食べようとは思いませんよね。
ブロッコリースプラウトは、芽を出したばかりの新芽野菜。
だから身を守るために、「スルフォラファン」というポリフェノールをたっぷり細胞に蓄えています。このスルフォラファンの健康や美容に与える効果がとても凄いと、テレビやSNSでも話題になっています。
スルフォラファンの驚くべき効果
赤ちゃんの免疫力を支える栄養素のように、わたしたちの健康や美容に役立つスルフォラファン。
スルフォラファンとは
スルフォラファンとは、ポリフェノールの一種であり、おもにブロッコリーやケールなどのアブラナ科野菜にしか含まれていない成分です。
1992年、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学医学部教授であるポール・タラレー博士は、スルフォラファンに体の防御機能を高める作用があることを発見しました。また1997年に、ブロッコリーの新芽には、成熟したブロッコリーの20〜50倍程度のスルフォラファンを含むことを解明しています。
その後、スルフォラファンを含むブロッコリースプラウトが日本にも広まるようになり、スルフォラファンの効果が注目されるようになりました。
肝機能の改善
スルフォラファンは、肝臓の解毒・抗酸化・抗炎症機能を高め、肝機能を改善することがわかっています。
医学部付属東京病院病院を中心とする研究グループと、カゴメ株式会社がおこなった研究によると、スルフォラファンの継続的な摂取が、酸化ストレスによる肝臓のダメージを軽減させることが明らかにされました。
肝機能マーカー(ALT、AST、γ-GTP)の値が高い方を対象に、スルフォラファンを含むカプセルを1日3粒、2ヶ月間摂取するグループとプラセボ(偽薬)を摂取するグループに分けて調査したところ、スルフォラファンを摂取したグループでは、ALTおよびγ-GTPの値が統計学的に有意に改善したことがわかっています。
風邪の症状を抑える
医療法人社団盛心会タカラクリニック院長・高良毅先生らによっておこなわれた研究では、スルフォラファンが風邪の症状を抑える働きがあることが報告されています。
風邪をひきやすい64人の被験者を対象に、1日に100mgのスルフォラファンを摂取するグループと、プラセボ(偽薬)を摂取するグループに分けて8週間調査したところ、スルフォラファンを摂取するグループのほうが風邪症状の累積日数が優位に少なかったことがわかりました。
本研究により、風邪をひきやすい方がスルフォラファンを摂取すると、症状の発現が緩和されることが示されました。
肥満を抑制する
金沢大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授と医薬保健研究域医学系の長田直人助教の研究グループは、カゴメ株式会社と共同でマウスを用いた動物実験をおこない、スルフォラファンが肥満を抑える効果があることを報告しました。
スルフォラファンを混ぜた高脂肪の餌を与えたマウスと、スルフォラファンを含まない餌を与えたマウスの体重を比較したところ、スルフォラファンを混ぜた餌を与えたマウスは体重増加率が15%程度抑制されたことがわかっています。
また、内臓脂肪量が20%程度減少し、血糖値と脂肪肝の上昇が抑えられていたことが報告されました。
当研究により、スルフォラファンが脂肪組織や肝臓の炎症を改善させ、生活習慣病の予防につながるといった波及効果も期待されています。
便通を改善する
便秘の傾向がある48人を対象にしておこなった研究では、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンが便通改善に効果があることが報告されました。
48名のうち、1つのグループにはスルフォラファンを多く含むブロッコリースプラウトを、他方のグループでは、スルフォラファンを含まないスプラウトを1日20gずつ4週間食べ続けてもらった結果、ブロッコリースプラウトを食べたグループで便通スコア(排便頻度や残便感などをスコア化したもの)が減少したことがわかっています。
高齢者における生活の質を改善
東北大学加齢医学研究所の野内類准教授・川島隆太教授を中心とする研究グループと、カゴメ株式会社がおこなった研究では、スルフォラファンの継続摂取によって抑うつ・怒りや混乱といったネガティブな感情が低減したことが報告されました。
高齢者144人を、スルフォラファンを含むサプリメントを毎日摂取するグループとスルフォラファンが含まれていないサプリメントを摂取するグループで分けて12週間調査したところ、スルフォラファンを摂取したグループで認知機能検査(処理速度を計測する検査)やアンケート検査(感情状態を計測する検査)にてネガティブな感情が軽減することがわかっています。
花粉症(スギ花粉)の緩和
東京理科大学薬学部の研究では、スルフォラファンの摂取によってスギ花粉症を緩和したことが報告されました。
2週間にわたってスギ花粉抗原抽出液を投与したマウスに対し、スルフォラファンを混ぜた餌を与えた結果、好酸球(アレルギーを抑制するために働く免疫細胞)数百分率が減少し、花粉症の程度が抑制できたことがわかっています。
糖尿病の悪化抑制
東北大学大学院薬学研究科の叶 心瑩氏・外山喬士講師・斎藤芳郎教授らのマウスを用いた研究では、スルフォラファンによって糖尿病を悪化させるセレノプロテインPの生成を抑制することが報告されました。
スルフォラファンによって、セレノプロテインPの分解が促進され、濃度が低下することがわかっています。
胃炎の軽減
筑波大学人間総合科学研究科病態制御医学専攻の谷中昭典氏らの研究によると、スルフォラファンに胃炎の軽減作用があることが報告されました。
ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染したマウスや人を対象とした実験によると、スルフォラファンを含むブロッコリースプラウトを経口投与することで、胃炎軽減作用と胃粘膜萎縮予防効果が期待できることが示唆されました。
エイジングケアに役立つスーパー野菜
スルフォラファンには、肝機能の改善や胃炎の軽減、風邪症状や肥満の抑制効果などがあることが報告されています。
また、便通やスギ花粉、糖尿病や胃炎などでお困りの方をサポートする効果も期待できます。
健康的な生活を送るためには、運動習慣だけでなく食生活を整えることが重要です。スルフォラファンを含む野菜を上手に取り入れ、健康的な生活を送りましょう。
ブロッコリースプラウトの食べ方
スルフォラファンを効率的に摂る
スルフォラファンを摂るためには、ブロッコリースプラウトの食べ方にコツがあります。
それは「ゆっくり、しっかり噛んで食べること」です。
スルフォラファンはブロッコリースプラウトの硬い細胞壁にかこまれているため、よく噛んで食べる必要があります。また加熱にも弱いため、サラダにしたり揚げ物に添えたりして生食することをおすすめします。
細胞壁から出てきたスルフォラファンは、100種類をこえる体内酵素の生成を促すともいわれています。
最近ではブロッコリースプラウトの健康食品も増えてきたため、毎日欠かさずにブロッコリースプラウトを摂りたい方は、そうした食品を利用すると長く続けられると思います。
野菜不足を解消しながらポリフェノールを摂ることができるブロッコリースプラウトは、これまで話題になってきた健康成分や美容成分のなかでも、日々の暮らしに役立てやすい食材のひとつです。
いつまでも若く元気に過ごすためにも、日々の食事に取り入れたいですね。
年齢に負けない身体作りにブロッコリースプラウト♪